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緒形拳さんのこと

2008/10/08 10:54

 

  どうもさっそくいらっしゃいませ。今井でございます。

 

  私は、緒形さんの『白野』のプログラムを二回作りました。この仕事は、いつものプログラム編集とは違う、重々しいものがありました。緒形さんの存在感ゆえだと思います。なぜに、緒形さんは『白野』に挑むのか、しかも若いスタッフとともに。『白野』は『シラノ・ド・ベルジュラック』を島田正吾さんが『白野弁十郎』という日本版&一人芝居として上演した作品です。『白野』はそれをアレンジしたものです。歌い上げるような島田さんのせりふ回しに対し、緒形さんはあえて淡々と朴訥と上演しました。再演では初演で試したことを鑑みて、ファンの脳裏に焼き付いている島田版に近い形で歌い上げるようなスタイルにしたと聞きます(忙しくて見られず)。3回は挑戦するといっていましたが、今年はお休みとなりました。体調が悪かったからでしょう。稽古でも疲れやすいような感じは私たちから見ても確かに感じられました。 



 今は忘れられかけている新国劇を実は誰よりも愛した方だったと思います。その演目を残していかなければ、という思いが強く、だから「あれもやりたい、これもやりたい」という夢を抱かれていました。どれも新国劇の演目を一人芝居にするというアイデアで、しかも若手の劇作家に手を加えてほしいと願っていました。なぜ一人芝居だったのでしょうか? 僕も何人か劇作家を提案してみました。 緒形さんは、きちんと若い才能を認めてくれる方でした。 

 カッと見開いた目の厳しい顔が、口角が上がってゆっくり、ゆっくり優しい笑顔になっていく。そんな緒形さんの顔が浮かびます。ぜいたくなお仕事に携わることができました。残りのもう一回、ぜひやってみたかった。

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大御所対決、今こそ旬

2008/07/08 09:03

 

 どうもさっそくいらっしゃいませ、今井でございます。本日はシアターコクーンで『道元の冒険』を見にいきます。『天保十二年のシェイクスピア』『藪原検校』に続く、井上ひさし・作、蜷川幸雄・演出の第3弾です。

 日本曹洞宗の開祖・道元と怪しげな新興宗教の教祖。七百年余りの時空を越えて、夢の世界でもつれあう二人の男の記憶と思想。〝冒険〟の果てに描き出される、信仰と社会の狂気とは—?

 出演者全員が坊主頭で並ぶ、あのチラシのお芝居です。蜷川さんと井上さんは、初恋の相手と老境を迎えて再会したかのように、舞台でその喜びの輝きを放っています。井上戯曲をこれほど、パワフルに演出できるのは、やはり“世界のニナガワ”しかいないのではないでしょうか。

 僕らにしてみては、かつてのエロチックで、ブラックな笑いに満ちあふれた井上戯曲を、現代の人気俳優という肉体を通して観られるのは、本当にうれしいことです。そして、井上さん、蜷川さんの顔合わせは今が旬なのだと思います。プロレスなどの場合、よく全盛期のタイミングを失った夢の対決に対し、「いまさら」感をもって語られることがありますが、僕はそうは思いません。出会った時が旬! だってここで出会う運命だったのだから、それを素直に喜びたいのです。


 先週末は、劇団俳優座『金魚鉢の中の少女』、『STOMP』、音楽座ミュージカル『リトルプリンス』、そして7日(月)にブロードウェイ・ミュージカル『PIPPIN』を見ました。もはや元宝塚の称号もいらない感のある、宮本真希さん。ミュージカルは13年ぶりなんだそう。いやー、お見事。歌、うまいっす。もっともっと舞台もやってほしい方、発見!
 

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副都心線がもっとも有意義な劇場、SPACE雑遊へ

2008/07/04 14:31

 

 どうもさっそくいらっしゃいませ、今井でございます。夕べは新国立劇場で『鳥瞰図』という素敵な作品を書かれたばかりサスペンデッズの早船聡さん、主演俳優の佐藤銀平さんと、タイ料理屋で呑んだくれてしまいました。演劇談義はあらぬ方向に炸裂し……ここではその内容は書けません(苦笑)。

 男性作家ではありますが、とても“細やか”という印象の戯曲を書かれます。8月に公演がありますので、ぜひに。

サスペンデッズ http://suspendeds.jugem.jp/


 そうそう、下北沢本多劇場でやっている中村獅童主演『羊と兵隊』はいろんな意味で見逃さない方がいいみたいですよ!


 イキウメ『裏と表と、その向こう』は、例えばお金に困った誰かが、自分の人生を切り売りする話だ。そこに家族や友人といった人間模様を重ねながら、珠玉のせりふも散りばめられながら進んで行く。いつもながらパズル的、数学的、哲学的など、作品の厚みをじんわり感じさせてくれるが、僕が彼の作品が好きなのは、それでも人間が息づいているところ。そう、人間が大事なのだ。いやー、うとうとっとすると話が見えなくなりますからね、お気をつけて。

イキウメ http://www.ikiume.jp/monogatari.html


 本日は新宿のSPACE 雑遊へ、『路上2』を観に行きます。水と油のすがぽんを観に行きます。文学座の美人女優・山崎美貴さんを観に行きます。名優・小林勝也と奇才・川村毅の抜群の相性を観に行きます。“抱腹絶倒の形而上学スラプスティック・コメディ! ”ってどんなだ? しかも1時間で終わるなんて素敵だ!

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あ〜あ、7月からちゃんと書こうと思っていたのに

2008/07/02 13:07

 

 どうもさっそくいらっしゃいませ。今井でございます。もう何度目の挑戦でしょう。何度目の宣言でしょう。何度目も挫折でしょ……。

 7月からちゃんと書こうと思ってたんだけどな〜〜あ〜〜あ。とにかくまとめて1週間分をとかは一気に書けないから、その日見に行くものだけを、イマイ的視点による見どころだけど紹介することにしましょう。だったら書けるかな?
 一日一善、一日一度開封。

 ちなみに昨日は、東京セレソンデラックス「夕」を観ました。

東京セレソンデラックス http://www.ts-dx.com/

 映画「花より男子ファイナル」脚本をはじめ、今では飛ぶ鳥を落とす状態の劇作家さんです。その代表作で、キングギドラの異名を持つ不良三兄弟、その彼女をめぐる数十年を描いた物語です。泣けます。泣かせます。ベタに泣かせてくれます。でもいいんです。そこが人気なんだかた。演劇って、芸術性、趣向に傾倒していくものも多いんですけど、ここはある意味、王道お茶の間芝居! 素直に見て、素直に笑って、素直に泣く、それで楽しい時間を楽しめればいいじゃなか!ってわけです。



 さて、本日はイキウメです。

イキウメ http://www.ikiume.jp/

 珍しく、初日に行きます。ついでに、うちのサイトにのっけたイキウメ主宰、前川知大くんのインタビューも見てください。

シアターガイド http://www.theaterguide.co.jp/feature/ikiume/?PHPSESSID=6336acc43ce2b0404a5905827fe26290


 イキウメはSFチックな展開と、哲学的な理論とを融合させて、しかも演劇ならではの演出を駆使しながら死や生に対する前川の想いを日常の世界に浮き彫りにする劇団です。「表と裏と、その向こう」。なんて不思議なタイトルでしょう。

 

小さい頃、姉がこっそり教えてくれた祖母の秘密。

「お祖母ちゃんの長生きの秘訣はね、
誰も見ていない時、死んでいるのよ」

生と死には、同じだけの時間が割り当てられている。
死は折り返し地点で、それから人生は逆行する悪夢だ。
寿命という残り時間で何をするかは自由だが、
オセロを裏返すように死を先取りしたってかまわない。
一日10分、僕が死んでいても、誰も気付きはしないだろう。

時給500円で人間やってます。
時々こっそり死んでいるのは、別に人生をサボりたいわけじゃない。
寿命が運命なら一生懸命生きるけど、これから余命何十年、
特に使命もないわけで、やっぱり退屈なので僕はあの世に亡命します。

「表と裏と、その向こう」は時間を切り売りする男女の物語。


 おっと、今はじめて読みました。へえ。面白そうじゃん。これじゃあ見どころも何もあったもんじゃない(苦笑)。でも今回は、それでいいんだ。期待しているから

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第52回岸田國士戯曲賞授賞式

2008/04/08 17:29

 

小林です。昨日は五反田団の前田司郎さんが受賞した第52回岸田國士戯曲賞の授賞式にお邪魔してきました。今井さん、シアターガイド編集長の鈴木さんと一緒に。皆で時間を勘違いして、1時間ほど遅刻しましたが(笑)

受賞作は京都芸術センターの企画公演として上演された『生きてるものはいないのか』。とある街に蔓延した謎の感染病で次々と死んでいく人びとの姿をひたすら描くという舞台でしたが、ハリウッドのパニック物のようなドラマチックな死に様ではなくて、けっこう日常とゆるく繋がったまま人生に幕を下ろすという死に様が新鮮でした。

授賞式に参加すると毎回、選考委員の劇作家ひとりひとりの選評が載った小パンフレットをいただけます。もちろん受賞作以外の候補作にも触れていて、推した理由、推さなかった理由がそれぞれの視点でつづられています。選評は、白水社のホームページ(http://www.hakusuisha.co.jp/)にアップされてますので、興味のある方はそちらで。

さて、昨日の授賞式で、なかなかお目にかかることがない一幕を撮影できました。


左から平田オリザさん、前田司郎さん、岩松了さん、宮沢章夫さん、野田秀樹さん

まあ、当然のごとく周囲はカメラ&ケータイを構えた人びとが集まりますわな(笑)。特に野田さんが前田さんと熱心に話している姿が印象的でした。こういうところから、新しい顔合わせの作品が生まれてきたりすると楽しいですねぇ。期待。

8時となり会もお開きになり始めたところで、酔った勢いで今井氏が舞台へ上がりスピーチする態。子供か(笑)。ついでだから載せておきます。小さく。




最後になりましたが、前田さん、受賞おめでとうございます。

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素敵だぞ、大阪演劇

2008/03/23 12:33

 

 どうもさっそくいらっしゃいませ、今井でございます。下北沢のザ・スズナリにリリパットアーミーII『罪と、罪なき罪』を見て来ました。いやーしいい芝居でした。

 リリパットアーミーはその昔、故・中島らもさんが主宰していました。女優で劇作家で、エッセイストでとにかく精力的に活躍する、わかぎゑふさんが今は主宰している大阪の劇団です。 らもさんがやってらしたころは、もう劇場から出たら忘れてもらっていいくらいの笑い満載の舞台でしたが、わかぎさんの路線は大阪らしさいっぱいの、人情味あふれる、笑いや楽しさ、哀しい物語を上演しています。

 ここ何年か、今後の裁判制度が話題になってますよね。陪審員制度。選ばれちゃったら、ホントどきどきしますよね。正当な判断ができるかの……ま、それはともかく、こちらは明治時代の裁判草創期の話。
 大津事件って社会の授業で習いましたよね。ロシア皇太子に一介の巡査が切りかかった事件。その裁判が終幕にくるんだけど、そこに持ってくる流れが秀逸。牛鍋屋のシーンで時代を見せたり、日常の姿から裁判官・日下の人柄を見せたり、新制度裁判に燃える若き弁護士集団の燃えぶりを見せたり。やっぱ、うまいなー。楽しくて、明るくて、そして悲しくて、心が温まる。
 そして大津事件。それまで登場していた人物がここで一気に集結します。ただ、ロシア皇太子を殺害しようとしたとあっては、国家間の大事件。巡査の死刑は貴族院からの申し渡しとして、裁判前から決まっています。しかし……この先は劇場でみてくらはい。

 月曜、火曜はまだチケットありますそうです。そんはしません。


 

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鉄道模型舞台『ムネモパーク』

2008/03/15 18:21

 


『ムネモパーク』 (C)Lex Vögtli

おひさしぶりです、小林です。自転車の旅のトラウマは永遠に封印することにしました。ごめんなさい。

さて舞台の話。“ムネオ”パークじゃないですよ。“ムネモ”パーク。ムネオパークって、北方四島のどこかにありそうですが(ハウスがありましたらから)。

いやー、見どころ満載、ユーモア&皮肉たっぷり。ものすごいスケールの鉄道模型を舞台に芝居をするっていうんので、もう観る前からワクワクしてたんですけど、想像以上のものが観れました。

残念ながら、今年で一旦終了となってしまう東京国際芸術祭の海外招聘もの枠の作品で、スイス発の舞台。元学校の体育館を改築した「にしすがも創造舎」にセットを組んで上演しています。

正面に大きな映像スクリーンがあって、その前面いっぱいに1/87スケールという鉄道模型と精巧に作られた自然や建築物のミニチュアが鎮座。スクリーン前には30代のキュートな女性、そして70歳オーバーとおぼしき4人の老人たちがあちこちで模型にもたれかかっています。

鉄道模型の各パーツ(モジュール)には、駅、山、工場、民家、本物のにわ鳥が収まった鳥かご(?)など、さまざまあるんですが、実はそのモジュール毎に語るべき農業問題、環境問題、歴史問題が設定されています。のどかな鉄道模型の旅だと思って、走る列車をのんびりと眺めていたら、いきなり深ーい人間の業を目の前に突きつけられるというびっくり展開。

ただし、お説教モードではなく、スクリーンの映像もキャストの語りも皮肉たっぷりながら、次々と笑いを誘います。模型の列車にカメラが付いていて、前面のスクリーンには模型列車の視点の映像が映し出されるのですが、キャストのおじんちゃん、おばあちゃんがその映像に合成出演して電車に乗っているような格好になり、一定スピードを超えた瞬間に自分の過去に「フラッシュバック」するところなんて、バカバカしくて声を上げて笑ってしまいました(イメージのネタ元は映画の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」あたりじゃないかと)。「日本に飛行機で模型を運んでくる時にあちこち壊れた」なんて、頭のもげたミニチュア人形をどアップにして愚痴ったり、本気なのか冗談なのか分からないけど、いちいち可笑しいんです。

一方で、世界的な環境破壊、食料問題やスイスの農業衰退の様子は細かなデータや実例を挙げて紹介されるので、かなりの衝撃を受けます。最近、ギョーザの問題もあったりで、食品管理、食料自給率の問題が何かとニュースで取り上げられる日本にとっても、かなり身近な、しかも恐ろしい現実が浮き彫りにされます。ちょっと毛色は違いますが、戦争と地雷の現実を扱った燐光群の『だるまさんがころんだ』の印象に近いものを感じました。笑いとシリアスさのバランス、それがこの『ムネモパーク』の抜群にうまいところだと思います。

鉄道模型全体を俯瞰して見る神的な視点と、各モジュール内のテーマの中に入り込むスクリーンのミニチュア内視点(人間の視点)。その二つの視点を交互に切り替えて思ったことは、「今、この世界を見渡した時に、神様は仕事を放棄したくなるんじゃないか」ということ。まあ悲観的な発想ですが、そんな余計な考えも、実にノリノリで模型の中を動き回って演じているおじいちゃん、おばあちゃんを見ていると吹き飛んでしまいました。

上演後は、鉄道模型をじっくりと間近で見ることができます。自然や建物のミニチュアが本当に細かく、精巧で、見入っているうちに気がついたら30分経ってました。おすすめは「お肉マウンテン」。サラミとハムが岩山に乗っているという、かなり異様なミニチュア。ぜひ匂いを嗅いで来てください。

上演は17日(月)まで、都営三田線・西巣鴨駅すぐの「にしすがも創造舎」にて。

東京国際芸術祭2008
http://tif.anj.or.jp/

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思わず泣けて泣けて

2008/03/13 11:38

 

 渋谷の東急Bunkamuraでやっている『さらば、わが愛 覇王別姫』を見てきましたよ。いやあ、結論から言いますと、泣けて泣けて。まあ、プログラムを作っていたから、稽古場に通っていたせいもあって、もう子役の姿がオープニングに登場してきた瞬間からもう引き込まれてしまいました。って書くと身内意識からだと思われてしまいそうですが、そうではありません。

 『さらば、わが愛 覇王別姫』って、映画の舞台化なんですよ。原作小説もあるんですけど、映画を、亡くなった劇作家・岸田理生さんが生前に戯曲化、宮川彬良さんが音楽をつけ、巨匠・蜷川幸雄さんが演出しました。出演者は京劇の女形・程蝶衣役に東山紀之、小さいころからいじめられてきた蝶衣を守って来た相方・段小樓役に遠藤憲一、小樓が結婚する娼婦・菊仙役に木村佳乃、京劇の守り神・袁世卿役に西岡徳馬ほかといっためんめん。
 そう、ちらしで見たこともあるかもしれませんね、ヒガシが女形のメイクバッチシのあれです。すっごく正直に言えば、大丈夫かという不安はありました。まず映画がカンヌ映画祭でパルムドールを取ったり、文化村の映画館2館でかけて年間43週も興行している大ヒット作なわけですよ。京劇なんて分からないだろうし、中国の歴史なんかもっと知らないし、おまけにヒガシが女形に挑む。もうハードル高い高い。


 物語は政治の支配が日本、国民党、中国共産党といった具合に変わるたびに、プロパガンダの道具として利用され、翻弄されてきた京劇の運命、そして小樓を思い続ける蝶衣と、菊仙の三角関係というのが二本の激流です。


 今ちょうど彩の国さいたま芸術劇場でやっている藤原竜也主演『身毒丸』も見てもらうと面白いかもしれないんですけど、岸田さんっていう劇作家の本は、美しい詩のようであるんですけど、物語のダイジェスト版のようで、戯曲だけを読んでいるとよく分からなかったりするんです。説明的な時代背景とかまるで書いてないから。ただ、蜷川演出でものすごく膨らむんですね。巨匠はシーンとシーンをつなぐブリッジに次々とイメージを盛り込んでいくわけです。これでもかぁこれでもかぁって。てんこもり。稽古場でも巨匠がよく言ってましたけど、そうした演出で、岸田さんの繊細な世界をものすごく増幅させていくんですね。や、ほかの演出家じゃなかなかこうはいきません。お金をかけられるとか、そういうことだけではなく、たとえば支配政権の旗を変更して、政権の変化をビジュアルでどうどうと、だけど説明的でなく見せたり、美しいシーンを徹底的に美しく見せたり、その世界観を確実に拡大させていくんですね。イメージとして。
 逆に生前、岸田さんは自分の作品をどうやって演出してたのか見てみたかったと後悔してしまいます。


 もう一つ、気になっていたのは、っていうか誰もが気になっているだろうはヒガシのことです。なぜに、ヒガシがこれをやるか。やりたいと言ったか。根本は語られていませんけど、なんか見えてくる気がするのです。
 ヒガシってある意味、少年隊においてもジャニーズ事務所のメンバーにおいても芸能界においても太陽じゃないですか。なんか燦々と照らしている感じ。なんでもそつなく出来てしまう才能もある。もちろん稽古場での頑張りは相当だですけど、もうそういうイメージじゃないですか。でも京劇のメイクのせいもあるかもしれないんですけど、ものすっっっっっっっっっごく哀しみをたたえている表情をするんですな、これが。この人最初っからどうなってしまうのって感じですごい引きつけられます。そして菊仙にはもう、もうライバル心いっぱいな、それこそせりふにあるような刃物のような視線、氷のような冷たい視線で突き刺します。
 歌舞伎や能やバレエだってそうですが、2、3カ月で京劇の技術を心も含めてマスターなんかできないでしょ。でもヒガシやっちゃってます。剣の舞なんかすばらしいし、京劇俳優の張春祥さんと並びたっても、全然負けてない。つーか、こんなきらびやかな衣裳に見を包んでも負けてないっていうのが何よりすごい。ヒガシの中で何かは確実に動いているのでしょう。それがいつ、見られるか楽しみです。

 小樓、人間味あふれてていい、すっごい正直。人間って弱いなと思わせるけど、ひどいやつだけど、なんか人間ってホントはこうだよなとも思わせます。菊仙、勝ち気な女性が一瞬見せる母性、きゅんとします。もしかしたら蝶衣と菊仙はなかよくなれたなって思います。袁の叫び、かっこいい。徳馬かっこいい! ダンサーのみんなよく頑張っているし、子役ってすごいなとつくづく思いました。


 ただね、家路に急ぐお客さんの反応を聞いていると、この世界に素直に入っていけるかどうかで、楽しめるのか楽しめないのかは決まってしまいそう。芝居を観なれているかいないか。僕は有り体にいえば、近代中国のきらびやかさと悲しむの世界を旅できてしまうのが、この作品の魅力、演劇の魅力って思えるんだけど。そこですね。そういう意味で言えば、宮川彬良さんの音楽は心強いタイムマシンです。あれ、どこでもドアか? 音楽も素晴らしいっす。

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ギンギラ太陽's『翼をくださいっ!さらばYS-11』公開舞台稽古

2008/01/13 14:48

 

以下、シアターガイドのホームページ用の記事ですが、東京での公演が14日までなので暫定的にこちらに載せます。写真入りのものは追ってホームページに載せますので、もうしばしお待ちください。とにかくユニークですので、特にまだ観たことがない人は銀河劇場へダッシュ!)

ギンギラ太陽's『翼をくださいっ!さらばYS-11』公開舞台稽古

http://www.theaterguide.co.jp/pressnews/2008/01/13_2.html
(シアターガイドHPに写真入りでアップしました)

ギンギラ太陽’s http://www.gingira.com/

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完走

2008/01/01 04:33

 

すいません更新遅くなりましたm(_ _)m

午前3:07、大きな事故もなく、自転車もパンクすることなく、京都の友人宅へ到着しました。あまりに憔悴してたため、更新前にお風呂をいただきました。ご勘弁ください。

えー、今回の旅は軽くトラウマになりかけてるので(笑)、詳細は後日。

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